一つの小さな鯛焼き
一口サイズのちっちゃなたい焼きが売られていた。
買い物帰りで小腹がすいてたりすると、ついついこういうものに手を出したくなってしまうもんである。そんなワケで、分かっていながらも、あっさりとこの罠にはまってしまった。
バラ売りはしておらず、12個、24個、48個…と、12の倍数での単位での売り方。
ちなみに、12個入りで420円。1個35円といったところだ。
いろいろと種類があるので、何をいくつ…なんてやってるうちに、オーダーはいつの間にか24個に。こうして着々と肥満体が作られていく。
一回で焼ける個数は、最大で48個。
その半分を自分が買ってしまうとは、なんという大人買いだろう…。
良く見るとこのお店、おばあちゃんとその息子さんのような、そんなお二人で営業されていた。
立ちっぱなしの仕事は本当に体にこたえる。
お店に立つ、このおばあちゃんの御苦労は、想像に難くない。きっと、いろいろと事情があるんだろう。
カゴに並んでいる商品ではなく、わざわざ焼きたてを入れてくれた息子さんと、かごで中途半端に売れ残っていた商品を、「サービスです」と入れてくれたおばあちゃん。
なんだか、思わず心がホワっとあったかくなった。
24個頼んだのに、気付いたら30個に増えていたミニたい焼き。
この小さな小さなたい焼き一つ一つが、将来おっきな幸せをもたらすことを祈って…。
ちなみに、食べる前にトースターで軽く焼くと、周りがカリっとなって、非常に美味しくいただける。